バッハ無伴奏補完委員会
 

バッハ無伴奏チェロ組曲CD聞き比べ-独断ランキング


J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲CDのうち、手持ちのものについて独断でランキングをつけてみた。
ただし、何がベストか、というのは人によって異なり、ある人にとってのベスト盤が別な人にとっては退屈極まりない、ということは普通にある。あくまで、管理人の個人的なランキングにすぎないことを申し添えておく。


順位 演奏者 コメント
殿堂入り
その1
パブロ・カザルス
OPUS蔵復刻盤

Pablo Casals
バッハ解釈としては多くの批判を集めつつも、伝わってくる気魄、人の魂の奥底にまで響く精神性の高さにおいて他の追随を許さない、歴史的名盤。
他との比較は意味をなさないため、殿堂入りとした。
殿堂入り
その2
ミッシャ・マイスキー
1999年録音(新)

マイスキーは、たくさんいるチェリストの一人くらいに思っていたのだが、これを聴いて見方が変わった。カザルスに次ぐ、圧倒的名盤である。カザルスと同じ域に達したか、あるいはカザルスをも超えたかもしれない。
カザルス同様、バッハ解釈としてはいろいろ批判もあるかもしれないが、その広大無辺な精神性の高さにおいて一級の芸術品である。
もはや、他と比較して云々できるレベルではない。
脱帽。
番外編 リリアン・フックス
Lillan Fuchs
ヴィオラによる演奏。たいてい、チェロには及ばないよナ、という印象で終わることがほとんどだが、これだけは違う。これを聴くと、むしろヴィオラで弾いた方がいいんじゃないの?とさえ思えてしまう。
ヴィオラは、弦によって音色が違う。それを欠点とみる向きもあるようだが、ここではかえって、音色の違いが声部の違いとして聴かれ、多声的が感じがよく再現されている。それはチェロよりも見事というほかはない。


バッハは、もともとはヴィオラで作曲して、指使いが一緒だからチェロでも大丈夫だろう、とか考えてチェロに編曲したのではないだろうか?本当は…


そんな疑念がふと頭をよぎる、そんな演奏である。
解釈も妥当でおかしなクセとかはない。無伴奏チェロ組曲の、不朽の名盤の一つに名を連ねてもおかしくない逸品(ただしヴィオラだけども)。


堂々の
第1位
ヤーノシュ・
シュタルケル

端正で武骨な音作り。第4番あたりにちょっと「?」なところも見受けられるが、解釈も実に妥当で正統派。第1位としたのは、数あるCDの中で、自分の解釈に最も近いからである。
第2位 ジャン=ギアン・
ケラス
モダン楽器による、ピリオド奏法(古楽器の奏法)を取り入れた演奏。
ピリオド奏法自体は、好きではなかったのだが、これにはやられた。
無伴奏チェロ組曲の「顔」ともいえる、第1番プレリュードは楽譜通りの正攻法で、素晴らしいの一言。ピリオド奏法ながら、全体的にとても楽しく、面白く聴くことができた。
まるで、うまいコーヒーをブラックで飲んでいるような、実にいい味わいをかもし出している。ピリオド奏法に抵抗がなければ、初めてこの曲集を手にする人にもお勧めできるだろう。
ただ、どんな演奏を好むかは感性によって異なるため、CD選びは自分の責任において慎重に行ってほしい。
第3位 ピエール・フルニエ
1960年
ピエール・フルニエの1960年の録音である。
音色は全体にやわらかく、とても魅力的。「楷書体」と呼ばれるように、実に楽譜通りの演奏で安心して聴ける。第3位としたのは、自分の解釈とは異なるところがあるため。
クセがなく、非常にいい演奏なので、ピリオド奏法でない、昔ながらの奏法が好きな人には、お勧めできる。
第4位 ミッシャ・マイスキー
1984年(旧)

ミッシャ・マイスキーの旧録音。これはこれで、非常に楽しめる内容となっている。新録音ほどの気迫は感じられないが…
第5位 ヤープ・テル・リンデン
特徴がないとかBGMに良いとか、いろいろ言われている。Amazonのレビューがある意味、的を得た評をしている。
この人はオランダ人らしいが、ドイツ的な様式・弾き方を忠実に守っていると思われる。自分なりのオリジナリティを出そうと小細工するということは一切なく、ただひたすら己の内面の奥深くにどれだけ到達できるか、を追求している。
装飾音の付け方に若干、オリジナルな部分があるが、全体的に地味であり、そんなに面白くはない。しかし、退屈でもなく、繰り返し何度も聴くのには向いている。やはり、BGMには最適と言える。
だが、第5番のアルマンドだけは、他に並ぶものがないほどの名演になっている。マイナルディといい勝負だ。
第6位 アンドレ・ナヴァラ
(エヴァンゲリオンクラシック4収録)

第1番しか聴くことができないが、その素晴らしいことといったら…プレリュードは最高の出来かもしれない。
全曲を聴くことができたら、もっと上位にいくかもしれない。聴いていないので、何ともいえない。
第7位 エンリコ・
マイナルディ

Mainardi
全体にテンポが遅めだが、音色は魅力的。他のCDに比べて、四角四面に楽譜通りに弾いている。それなのに、第1番~4番までは、とても楽しめる。5番、6番はやや退屈…5番アルマンドだけは、名演。
第8位 ポール・
トルトゥリエ
1983年

これは、どうも私の感性には合わなかったようで、ちょっと聴くだけでものすごく退屈してしまい、聴いていられない。
これをベストに挙げる人もいるから、演奏に対する好みは人それぞれ、いろいろ違うということだ。
堂々の
ビリ
ムスティスラフ・
ロストロポーヴィチ
2番&5番

一番、バッハから遠い演奏だと思われる。
まったく舞曲らしくなく、ひたすら重々しく、重厚に弾かれるガヴォットなどは、バッハ解釈としては最低の部類に属するだろう。
ただ、ロストロポーヴィチのチェロは非常に魅力的なので、バッハを聴くのではなくロストロポーヴィチのチェロを聴くためのDISCであると考えれば、価値のある一枚ではある。

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