バッハ無伴奏補完委員会
 

ポール・トルトゥリエのバッハ無伴奏チェロ組曲

ポール・トルトゥリエの無伴奏チェロ組曲CDは、どうも廃盤になっているようで、安価に手に入れることが難しい。

1番&4番&5番が収録された1枚だけが、なぜか安い。

しかし、どういうワケなのか、2番&3番&6番は異常に高い。

さらに、旧録音の方はもう、かなりのプレミアものである。

そのような中で、Made in EU の輸入物だけは、安価に全曲を聴くことのできる唯一のものだ。

この輸入盤の無伴奏チェロ組曲(全曲)は、1983年録音のもので、国内盤と内容は変わらない。全く同じ演奏である。ただ、日本語の解説書が付いていないだけ。日本語解説が不要であれば、これで十分だと思う。
国内盤と比べて、若干音量が小さめだが、気になるほどではない。
輸入物の常として、ケースが壊れやすいという難点があるが、気にしないことである。


今回は、この輸入盤でトルトゥリエのチェロ組曲全曲を聴いてみた。


まるでビロードのような、しなやかな美音である。
やわらかくて、温かみのある、いい音色で弾いている。


しかし、どうも…


私の感性には合わなかったようで、聴いててちょっと退屈してしまった。
特に、第4番のプレリュード。トルトゥリエのはテンポが遅すぎて、途中で飽きてしまった。
4番ジーグも、マイスキーのようないいテンポでもなく、シュタルケルのように性急すぎてあまり良くない。
第5番も、もっと堅めの音色でガッツリ弾いて欲しいのだが…


それから、最大の欠点としては、アルマンドのテンポが速すぎること。アルマンドに必要不可欠な、「穏やかさ」「ゆったり感」が、欠如している。


音色自体は、とても良くて魅力的ではあるんだけども。
シュタルケルのCDだと、自分の感性にぐいぐい入って来たんだが、トルトゥリエのは、入って来なかった。


人によっては、トルトゥリエが一番!と言う人もいるから、感じ方は人それぞれ違うのだろう。
これがベスト!なんていうのは、人によって違ってくるのが当たり前なんだろうな。


ま、少なくとも私(ばっかバッハ)には、トルトゥリエのCDはあまり心に響かなかった、というだけの話で…決して、悪いCDではない。むしろ、かなりいい方に属すると思う。
たまに気分を変えて聴くには、ちょうどいいかもしれない…音いいし。


あと、ところどころ、「音が違う?」というところがあった。これは、間違えているとかではなくて、楽譜から違うんだろう。
理由はよく分からないが、バッハの無伴奏チェロ組曲には複数の版があって、音が微妙に違うらしい。♭やナチュラルなどの臨時記号のつき方等に違いがあるのだ。


アンナ・マグダレーナ・バッハ(バッハの奥さん)による筆写譜は、一つしかないハズなのに、楽譜が複数存在する、というのは、どうしてなんだろうか?
アンナ・マグダレーナの筆写譜には、間違いとおぼしき箇所がいくつかあり、「実はこうだったんじゃないのか?」と訂正した版が、いくつか出版されているからなんだろうか??

ちなみに、バッハ自身の自筆譜は、どこへいったのか分からないそうです。

(2010年5月24日)

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