ロストロポーヴィチの無伴奏チェロ組曲2番&5番
バッハの無伴奏チェロ組曲が好きである。
そして、チェリストとしては、ロストロポーヴィチが好きだ。
では、ロストロポーヴィチの演奏になるバッハの無伴奏チェロ組曲はどうか。
…
これは、一口に言って、ダメダメである。
ロストロポーヴィチの無伴奏チェロ組曲は、2番と5番が収録されたものを持っているのだが…
ロストロポーヴィチの弾き方は、ブラームスとかドヴォルザークとか、チャイコフスキー、ラフマニノフといったロマン派の曲には非常によく合い、たいへんに魅力的で艶やかでもう最高なのであるが、ことバッハに関してだけは、弾き方が全くそぐわない。
何と言ったらいいのか…あの強烈に歌いこんでエスプレッシヴォで伸ばす音、ロマン派の曲では魅力になるんだけど、バッハでもそれをやってしまうと、ちょっとバッハではなくなってしまう。
しかし、ロストロポーヴィチは、やっちゃってしまっているのである。
バッハを聴くのではなくて、ロストロポーヴィチのチェロを聴くためのCDになっている。 ロストロポーヴィチのチェロは魅力的で好きなんだけど、バッハの弾き方ではないんだよな… やはり、ロシア人の彼としては、ドイツ音楽の勉強が足りなかったのかもしれない。特に対位法。
だから、ロストロポーヴィチのバッハ無伴奏チェロ組曲(2番&5番)は、買って失敗したなぁ、とは思ったけど、ロストロポーヴィチのチェロの音は聴けるから、売り払ったりはせずにまだ手元にある。
ロストロポーヴィチがバッハの無伴奏チェロ組曲全曲をなかなか録音しなかったのは、おそらく自分でも、バッハの演奏としてはあまりいい出来ではないことを知っていたからなんだろう…自信がなかったんだ、きっと。
でも、自分をよく知っていたんだから、謙虚な人だったんだね。
ロストロポーヴィチの録音でかなり気にっているのは、ブラームスのチェロソナタだ。
ルドルフ・ゼルキンのピアノのヤツ。 これはいい。最高だ。何度聴いたか分からないくらい聴いた。 とにかくいい。それしか言えない…(T_T)
それから、今さら言うまでもないがドボルザークのチェロ協奏曲。
名演でしょう。 まぁ、ウチにあるヤツは輸入もので指揮がBoris Khaikin、管弦楽Moscow Radio Orchestraという顔ぶれだけども。
あと素晴らしいのは、ブラームス作曲のヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲だ。 ダヴィッド・オイストラフのヴァイオリン、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団のヤツ。
これもすごい。ロストロポーヴィチのチェロがすごいのなんの…オイストラフもいいけどね。 ベートーベンのトリプルコンチェルトも収録されてるけど、そっちはあまり興味ない…
あと、ロストロポーヴィチ・チェロ名曲集。
この中に収録されている、ラフマニノフのヴォカリースがたまらない…でも絶盤か何かなのか? アマゾンでは定価より高い…2倍の値が付いてるけど一体どうしたわけだ。
貴重な盤なのかな。 ちなみに収録曲は以下のとおり。
1.トロイメライ(シューマン)
2.夢のあとに(フォーレ)
3.ミンストレル(ドビュッシー)
4.月の光(ドビュッシー)
5.ハバネラ(ラヴェル)
6.間奏曲(グラナドス)
7.妖精の踊り(ポッパー)
8.練習曲嬰ハ短調No.7(ショパン) →これ、かなりいい(T▽T)
9.即興曲変ト長調No.3(シューベルト)
10.ヴォカリース(ラフマニノフ)
11.ワルツ(シャポーリン)
そして最後に、かなりマイナーなところを突いて、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出」である。
これもすごくいいんだが、なんとアマゾンでは品切れでお取り扱いしていないそうだ… マイナー過ぎたか。
と、いうワケで結構、ロストロポーヴィチマニアではあるんだが、バッハの無伴奏チェロ組曲だけはいただけない、というお話しでした。
(2009年のブログ記事による)
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