バッハ無伴奏補完委員会
 

アンドレ・ナヴァラのバッハ無伴奏チェロ組曲
~エヴァンゲリオンクラシック4収録の第1番~

アンドレ・ナヴァラの無伴奏チェロ組曲CDは、すでに廃盤になっているようで、入手が非常に困難となっている。困難というか、不可能に近い。


その割には評価が高いので、聴いてみたいと思うのが人情というものだろう。


もう聴くことはできないのか、と思っていたら、なんと、第1番ト長調BWV1007のみではあるが、『 エヴァンゲリオン・クラシック4 バッハ:管弦楽組曲第3番「アリア」他』というCDに、ナヴァラの演奏が収録されているではないか。

さっそく、購入して聴いてみた。


こ、これは…Σ(O_O;)


すごく、いい。
実に、ストレートで直截な音出し。
トルトゥリエやマイナルディとは正反対の、硬質な音だ。


あの多くの人が知っているプレリュードは、まさに理想の演奏と言えるかもしれない。ちょっと移弦にたどたどしさが垣間見えるのも、かえっていい味わい。


楽譜を見て、自分で演奏して感じることがそのまま表現されているように聞こえる。
もしかしたら、日本人の感性に合っているのかもしれない。
他のCDだと、「なんで、ここでこういう風に弾くんだろうか?」と謎に思う部分があるんだけども、ナヴァラのはそれがない。「あっ、そうそう、ここはそういう風に弾きたくなるよね!」と素直に共感できる。


ただ、アルマンドはややテンポが速すぎると思う。
もう少し、ゆったり感を出してもよかった。
サラバンドも、同様にちょっと速めな気がする…


だが、クーラント、メヌエットのリズム感は最高である。


特に、ジーグは素晴らしい。
この第1番のジーグは、全曲中でも最もセールスポイントがない、というか、決定的な魅力に欠ける、特にどうということのない曲だと、個人的には思っていたのだけども、ナヴァラのジーグは強めのリズムが非常に心地よく、とても楽しめる演奏になっていた。
第1番ジーグの、最高にして最強の演奏だと、私は思う。

(2010年5月27日)

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